タカノフーズ

納豆を引き立てる たれソムリエの 妙技 商品開発 大嶽伸樹

1商品の開発で50種類のたれを試作


何種類ものたれを用意し、納豆との調和を試す。

タカノフーズの納豆の特色として、たれの種類の豊富さがあげられる。西日本、九州など地域性を重視したもの、昆布、かつおなどだしの種類の違い、そして、しそ、梅、といったフレーバーによるものなどである。納豆は、大豆の性質と納豆菌の性質の相乗効果によって「納豆」になるが、そこにもうひとつ、たれが加わることでやっと商品として完成する。素材の味を生かすも殺すも、たれにかかっているといっても過言ではない。 「開発にあたっては、1商品につき約50 種類のたれを試作して評価します。」 もちろん、たれの味を評価するには、たれ単独で試食しても意味がない。 「たれ単体でおいしくても、納豆とあわせるとおいしくないことがあります。合わせる納豆の特徴をしっかりとつかんで、納豆を生かすたれを作ることが大切なんです。」

お互いを引き立てる絶妙のバランスを求めて

製造時から日数が経過すると変色する。これを基準の色に合わせて日持ち検査を行う。 味と味を合わせるのではない。たれが合わせる相手は、粒径、粘り、香り、堅さといった納豆の基本的な性質であって、甘い、しょっぱい、辛いといったわかりやすい味とは少し事情が違う。
「例えば、糸引きが強い、うま味が強い納豆があるとすると、その納豆の糸引き、うま味を維持しつつ、さらにおいしく食べるためのたれを合わせるんです。」
糸引きというとても繊細ではかないものを壊さずに、たれによって引き立てる。たれの味で食べるというよりは、納豆本来のうま味を引き立てるためにたれの味を決める。でしゃばらず、引き過ぎない、お互いを生かす絶妙なバランスが必要とされる。
「かつお節などにふくまれるイノシン酸と昆布などに含まれるグルタミン酸は、合わせると7倍のうま味になると言われています。ですから、納豆のうま味にたれのうま味を合わせると、その効果も高くなることが容易に想像できます。また、納豆は酵素も持っていますから、ある特別なたれを入れたら、酵素活性が良くなる…といった商品も開発できそうですね。」

味は文化地域性も大切

糖度計。製造時から継続的に糖度を確認。糖度の変化を見ることで日持ちを確認する。 「例えば、九州地方では、甘味料が添加されている甘口醤油の食文化があります。これを尊重して考えると、納豆のたれも甘く仕上げるのが自然なことです。また、関西では、だしといえば昆布だし+薄口醤油、関東ではかつおだし+濃口しょうゆといわれています。こうした各地域の食文化の違いを考慮し、長い間支持されてきた味を納豆のたれの味づくりに取り込んでいくことは、とても重要なことだと考えています。」

味は単独では決められないいろいろな人の意見を取り入れる

「最終的な味の決定は、誰か1人の開発者が1種類に絞り込んで決定するのではありません。まず2~3種類まで絞り込んで、それを社外の方も含めた関係者で試食し、評価をしていただきます。より客観的に、より多くの人に判断をしていただいて、より多くの人に受け入れられるおいしい味を開発するためです。」
味の善し悪しは、数値では測れない。複数の熟練開発者が試食し、多角的に評価をしていてもなお、開発者以外の意見を求める。独りよがりにならない、こうした調和とバランスの感覚が、たれソムリエの妙技といえる。

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