「菌のストックは現在2000 種類を超えました。すべて自社で収集したオリジナルの菌なんです。」
研究所の一室で、田谷は穏やかに微笑みながらそう言った。納豆菌は枯草菌の一種で、稲のわらに付着しているという。糸引納豆は、この納豆菌が煮豆に偶然作用してできたと言われている。
さまざまな環境にある枯れ草などを収集することで、さまざまな種類の納豆菌をそこから採取することができる。研究所では、収集したこれらの菌を培養して性質を分析するといった地道な研究を日々行っている。2000 もの納豆菌の性格を把握するコツを聞いてみた。
「菌の性格を一度や二度の試作だけで判断することはできません。商品の開発目的に合わせて、評価するべき納豆菌の性質や特徴は違ってきます。その都度調べた性質が研究者によって追加され、蓄積されていきます。だから、菌の性質はすべて把握し切れているわけではなく、日々少しずつ明らかにされている、というのが正しいですね。だからこそ発見があっておもしろいんです。」
「開発にあたっては、菌のストックの中でも、より分解力の高い菌を探し出して使いました。」
納豆菌でコラーゲンを低分子化させるというこの技術は、タカノフーズが特許を取得した独自の方法である。大豆を発酵させるという役割だけでなく、より積極的に納豆菌の性質を利用した商品として、「発酵コラーゲン納豆」は画期的な商品となった。
※特許第3737822 号